8月20日の夜、六本木の旬房で乾山を。
コース
じゅん菜 才巻海老 加減酢ジュレ/蛸唐揚げ このわた/鰻サンド/鱧唐寿美 酢橘/夏鴨 無花果巻き
白い長皿に5品。楓の葉の横に鰻サンド、酢橘をのせた鱧の唐寿美、夏鴨の無花果巻き、小鉢に蛸の唐揚げとこのわた、いちばん右のガラスにじゅん菜と才巻海老の加減酢ジュレ。
ジュレはさっぱり。このわたは優しい。夏鴨もまろやか。鱧に唐墨は、その名の通りの味がする。鰻サンドはパンがもちもちで、甘めに炊いた鰻がそこに合う。
黄金穴子 京赤地どり 沢煮椀 牛蒡 大根 人参 いんげん
沢煮椀。細切りの牛蒡、大根、人参、いんげんが重なり、上に黒胡椒。穴子と京赤地どりは椀の底に沈んでいる。
穴子はしっかりとした味。出汁は少し甘いけれど、黒胡椒がそれを締める。細切りの野菜は1本ずつ食感が違う。御椀らしからぬ勢いで、箸が進む。
御造里 本日の二種
この日の2種はとろと鯛。氷の上に、花穂と茗荷、わさび、大根おろし。
鯛は弾力があって旨みが強い。とろはゴマだれで食べると、ユッケのように旨みが重なる。醤油で食べても、その旨みは分かる。
琵琶鱒 酒焼き いくらおろし 昆布 酢蓮根 枝豆せんべい
皮目を焼いた琵琶鱒の上に、いくらと大根おろし。その上に枝豆せんべいが一枚。横に酢蓮根。
炭火の香りがいい。いくらおろしが乗るとかなりさっぱりする。枝豆せんべいに入ったチーズが、鱒の香ばしさを引き立てる。炭火らしさは少し減るが、そのぶん色々な味があって楽しい。
鮑 磯部揚げ アスパラ レモン 山椒ソース
鮑の殻に、海苔の衣をつけた鮑の磯部揚げとアスパラ。下に大根おろし、レモンが一切れ。山椒のソース。
衣はさくさくで、噛むたびに磯部の香りが立つ。鮑の味が負けるほど強い。そこに山椒のソースが、なぜか合う。鮑の味を引き立てる。レモンも思ったより良くて、磯部の香りが立つ。後味が地味に良い1皿。
近江牛吉野煮 京茄子旨煮 とうもろこし
出汁の中に薄切りの近江牛とわさび。とうもろこし、京茄子、いんげん、赤唐辛子の輪切り。
近江牛は味も食感も優しい。茄子もとうもろこしもかなり美味しい。
鮎 釜炊き御飯 モッツァレラチーズ オリーブオイル 赤出汁 香の物
釜の蓋を開けると、焼いた鮎の身と皮、溶けたモッツァレラ。取り分けた御飯に、オリーブオイルの小瓶を自分でかける。赤出汁と香の物が付く。
鮎の香ばしさに、チーズとオリーブオイル。この組み合わせが最高だった。焼いた鮎の香ばしさの上にモッツァレラの脂とオイルの香りが乗って、会席の締めがそのまま1皿の料理になっている。
水菓子
水菓子はマスクメロンとピオーネ。楓の葉が添えてある。
メロンは甘く、よく熟している。ピオーネはさっぱりと甘い。
まとめ
八月の乾山は、さっぱりとした味で組み立ててあった。
前菜の加減酢ジュレ、御椀の黒胡椒、焼物のいくらおろし、合肴のレモンと山椒。炭火や揚げ物の香ばしさの隣に、必ず口を戻すものを置いてくる。三月の乾山が苦みで春を作っていたのに対して、八月は酸味と辛みで夏を作っている。
そして、この店がチーズとオリーブオイルを会席に入れてくること。焼物の枝豆せんべいにチーズ、締めの釜炊きにモッツァレラとオリーブオイル。どちらも和の形を崩さずに、香ばしさだけを一段上げている。鮎の釜炊きにモッツァレラとオリーブオイルは、この日いちばん記憶に残る組み合わせだった。
この日いちばんよかったのは鮑の磯部揚げだった。海苔の衣が鮑に勝つほど香って、山椒とレモンがそれを引き立てる。
乾山は夜の8品なので、時間に余裕のある日に行きたい。次は秋の乾山を見てみたい。九月の光琳は松茸で始まったので、乾山の秋がどう組まれるか気になる。